CAD(AutoCAD LT、JW-CAD)から2D図面データを取り込んでモデリングする
■はじめに
今回は、Vector Works以外のCADソフトとして、AutoCAD LTやJW-CADから2D図面を取り込み、STRATA 3D CXで立体化するための方法についてお話ししたいと思います。
■AutoCAD LTからの2D図面の取り込み
建築系ではシェアの多そうなAutoCAD LTからのデータ取り込みについてです。
元々の図面をVector Worksで作成し、DWGファイルに書き出し、AutoCAD LTで取り込んで試していますので、最初からAutoCAD LTで作成した図面とは違いがあるかも知れません。
■01
まず、線分だけで構成された図面をDXF形式で書き出しましたが、Vecter Worksと同様に加工ができない状況でした。
Illustratorで開いてIllustrator形式で保存した場合はどうでしょう?意外なことに、Vector Works からの線分のみの取り込みはなんともなりませんでしたが、AutoCAD LTからの場合、一本の線分だけでは同じですが、柱を構成する線分、ここでは8本をグループ化し、まとめて押し出すことで、押し出し可能でした。
2本以上の線分(同一ではない)をグループ化すれば、押し出し可能でした。また、スキンモデリングも可能でした。
この連載用に作成したモデルデータをここでダウンロードできます。
(注意) 下記のデータは、Vector Works 12.5で作成されたデータを、「DWG...」形式で書き出したファイルです。このファイルはSTARTA 3D CXで開くことはできません。
( 注意 ) 下記のデータは、AutoCAD LTで上記のDWGデータを読み込み、「DXF...」形式で書き出したファイルです。
■02
次に、面のある状態を書き出した場合です。
このモデルでは素材別、高さ別にレイヤーを分けていますので、そのレイヤー分けは継承され、各パーツごとに立ち上げることが出来ます。Vector Worksファイルの面あり状態の取り込みとなんら変わりません。
STEP03と同様に、押し出しツールで押し出すと、上方向に押し出されるオブジェクトと下方向へ押し出されるオブジェクトがあります。
CADで多角形を作成する際に、右回りに作ったか、左回りに作ったかで、面の向きが反対になるからです。一定の方向にそろえて作る癖をつけておくとこんなときに便利かもしれませんが、オブジェクト整列でそろえればいいので、さほど気にすることもないでしょう。
ただ、なぜか作業中にプロジェクトウインドウがメモリ不足とのアラートで閉じてしまうことがありました。
プロジェクトウインドウは気にせず、立体化してしまった後では、プロジェクトウインドウを表示することが出来ました。しかし、今度はシェイプパレットが表示できませんでした。おそらく、レイヤー名が勝手にシェイプ名に変換されてしまうのですが、その際、表示できない文字もしくは長さになってしまっているのでは?と思われます。
このような症状が現れる場合は、AutoCAD LT側で単純にレイヤー名を01、02、03のような数字に置き換えてみてください。
この連載用に作成したモデルデータをここでダウンロードできます。
(注意) 下記のデータは、Vector Works 12.5で作成されたデータを、「DWG...」形式で書き出したファイルです。このファイルはSTARTA 3D CXで開くことはできません。
( 注意 ) 下記のデータは、AutoCAD LTで上記のDWGデータを読み込み、「DXF...」形式で書き出したファイルです。
■03
また、このようにしっかりグループ分けできていると、グループ(シェイプ)に入って面を高さ分複製し、スキンで作った方が楽かと思います。
Vector Worksと同様に、曲線の多いデザインの場合は、やはりIllustrator経由が上手く行くかと思います。部分的であれば、その部分だけSTRATAで書き直しても、さほど手間は変わらないでしょう。
この連載用に作成したモデルデータをここでダウンロードできます。
( 注意 ) 下記のデータは、AutoCAD LTからデータを「DXF...」形式で書き出し、Illustratorで再度読み込んでAIファイルとして別名保存したものです。
■JW-CADからの2D図面の取り込み
住宅方面では結構ユーザーの多いJW-CAD LTの場合です。
Vector WorksもVer. 11.5まではJW-CADの読み書きができたのですが、Ver. 12ではその機能はなくなってしまいました。図面はVector Works 11.5から書き出したJWCファイルを読み込んでいます。
この連載用に作成したモデルデータをここでダウンロードできます。
( 注意 ) 下記のデータは、Vector Works 11.5で作成されたデータを、「JWC...」形式で書き出したファイルです。このファイルはSTARTA 3D CXで開くことはできません。
■04
まず、線分のみの図面からは、どうにもなりません。スキンも出来ません。
同じファイルをIllustrator経由ではグループ化しての押し出しは可能、スキンは可能でした。
この連載用に作成したモデルデータをここでダウンロードできます。
(注意)下記のデータは、JW-CADで上記のJWCデータを読み込み、「DXF...」形式で書き出したファイルです。
■05
Vector WorksからJW-CADへは、面の情報は渡らないので、JW-CADで、ハッチング設定の多角形を書きました。その状態で書き出したDXFファイルは、面ありの状態でSTRATAで開けます。
この連載用に作成したモデルデータをここでダウンロードできます。
(注意)下記のデータは、JW-CADからデータを、「DXF...」形式で書き出したファイルです。
■06
その面を押し出すと、四角形のみ残り、ほかの多角形は消えてしまいます。
しかし、面の部分をオブジェクト変換(ジオメトリー変換)でポリゴングループに変換したところ、
押し出すことが出来ました。
■07
面以外のオブジェクトは、やはり加工不能です。
Illustrator経由では、グループ化しての押し出し、スキン、共に可能でした。面はもちろん押し出し可能でした。
この連載用に作成したモデルデータをここでダウンロードできます。
(注意)下記のデータは、JW-CADからデータを「DXF...」形式で書き出し、Illustratorで再度読み込んでAIファイルとして別名保存したものです。
■08
JW-CADはフリーのソフトですので、Windowsのユーザーの方は入れておくといいのではないでしょうか?
四角形でない、多角形の塗りつぶしは三角ポリゴンに分割されてしまいますので、できれば、四角形の組み合わせで
塗りつぶしを上手く作成する方が立体にしやすいでしょう。また、素材別に塗りつぶしを色分けしておけば、色別にグループ化して取り込めます(DXFの場合)ので、非常にスムーズに立体化することができます。
■09
少々分かりにくいので、まとめの表にしました。簡単に言って、DXFで読み込む場合、必ず面ありの状態で取り込む。線分のみの場合、Illustratorを経由し、Illustrator形式のファイルを読み込むことで加工可能、ということですね。
Windowsユーザーならば、JW-CADはありがたいことにフリーのソフトなので、線分のみのDXFファイルを受け取ってしまった場合はご自分で頑張って面を貼るのも可能ですが、Macintoshユーザーは、フリーのCADソフトはないのでIllustratorをご用意するか、Intel Macならば、Windowsを入れて、JW-CADをつかうのもいいですね。
面を貼る作業だけならば、STRATA上でペンツールで面を書くよりも、正確にスナップさせながら書くことができます。とはいえ、パースの場合はある程度おおまかで問題ないので、STRATA上で書いてしまうのもいいでしょう。いずれにせよ、なにもない状態からつくるよりは、下絵だけとはいえ、正確な図面があるほうが便利です。
最後に、Vector WorksはMacintosh版のVer. 12.5、STRATA 3D CXはMacintosh版のVer. 5.5.1を利用しています。
STRATA 3D CXは、STRATA 3D CX 5.5.1J アップデーターを利用した上でないと、ここに紹介したような動作になりません。
STRATA 3D CX 5.5.1J アップデータを適用することによって、IllustratorやPDFのファイルが読めない問題も修正されますので、アップデーターをご利用ください。
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