今回はやっとCGらしく?テクスチャーを作ります。
STRATAには購入時から豊富なテクスチャーが付属しますが、指定の素材があることの多いパースではどうしても物件ごとにテクスチャーを作る必要があります。金属等は微妙な光沢の違いを出すのはなかなか難しいのですが、画像を貼り込んでいくタイプのテクスチャーは簡単な設定で済みますし、誰がやっても同じパースにならないためにはオリジナルのテクスチャー作りは欠かせません。
ここで紹介するのは簡単なものばかりですが、基本ですのでしっかり練習しましょう。
壁紙や木など、指定の素材のある場合、どうしてもスキャナーとAdobe Photoshop等のペイント系のソフトは必要です。スキャナーに付属する簡易版やElement等で十分ですのでなんか手に入れましょう。WINDOWSをお使いなら、多機能なソフトがフリーソフトとして手に入ります。なにもお持ちでなければなんか手に入れましょう。壁紙等の見本をスキャンするためにはスキャナーは必要です。A4のフラットベット型のもので予算範囲で高解像度なものを選んでおきましょう。ここでは持っている前提で話を進めます。
最も頻度が高く、最も使い回しできないのが壁紙です。同じ壁紙のサンプルに出会ったことがまだありません。困るのは模様が入っている場合です。サンプルのチップはほんのひとかけらのためパターンを頑張って描くしかありません。その場合の作り方は今回除外しますが、大きなサンプルが入手できればパターンごとにスキャンして同じように作れます。
今回使用するテクスチャーは下記よりダウンロードが可能です。
テクスチャー用参考データ
ダウンロード:(CX 用)
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Macintosh用 STEP03_tx_s3dcx.sit (2MB) <<<ダウンロードする |
Windows用 STEP03_tx_s3dcx.exe (2.8MB) <<<ダウンロードする |
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テクスチャー用参考データ
ダウンロード:(3.7〜3.9 用)
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Macintosh用 STEP03_tx_s3d.sit (3MB) <<<ダウンロードする |
Windows用 STEP03_tx_s3d.exe (2.8MB) <<<ダウンロードする |
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■01
今回使用するのは一般的な?壁紙の端切れ2cm x 4cmほどのチップをスキャンしたものです。
壁紙のカタログに張り付いている見本を半分に切ったものでしょう。たいがいこれしかもらえません。もらえるのは結構いいほうです。あとからレタッチすることも考えて、このサイズですと400dpi以上くらいでスキャンします。布目がまっすぐになるように角度を調整して、きれいな部分のみ切り取って現物を見ながら色みを調整します。現物を高解像度でスキャンするとホコリや微妙な傷が目立ちますので、コピースタンプツール等で丁寧に掃除します。繊維が一本一本目立ってしまうような場合は何度かぼかしをかけて、アンシャープマスクをかけるときれいになるかもしれません。で、完成したのが添付の画像データです。
STRATAは取り込む際に72dpiに勝手に縮小するので、画像を保存する際に72dpiにしておくのをお忘れなく。この画像は512 x 256ピクセルですが、小さい見本から作れるのはこのくらいでしょうか?
(テクスチャー用参考データ「かべ.bmp」または「かべ.tif」)。
■02
やっとSTRATAへ戻ります。
作業中は頻繁に調整ができるように、STRATAとAdobe Photoshop、CADでモデリングしているならそのソフトくらいを同時に起動しておいて使えるぐらいメモリが十分かどうか確認の上でどうぞ。私は1.5GBのメモリを実装していますが、これでも十分とは言えません。メモリが足りないとフリーズする回数が多くなりますので、気をつけてください。私はちなみに危険度が高いので同時に起動はしません。面倒でも一度終了してから別のソフトを立ち上げます。
■03
壁オブジェクトに壁紙を貼ります。モデリングウインドウ内で壁オブジェクトをダブルクリックするか、またはプロジェクトウインドウで壁をダブルクリックすると別ウインドウで壁オブジェクトだけが開きます。部品が多くなると全体のモデリングウインドウでは確認しづらいことが多いので、このように部品ごとのウインドウでテクスチャーを設定していきます。開いたウインドウでオブジェクトをクリックした状態で(STEP02でダウンロードされたサンプルデータの状態ではここは1グループになっていると思いますが、グループ化されていない場合は壁紙を貼るオブジェクトをすべて選択してグループ化しておいてください。)リソースパレットのテクスチャータブを選んでおいて、新規/イメージテクスチャーを選びます。
■04
先に名前(ここでは壁紙)を付けておきましょう。
マップをクリックしてイメージを取り込みます。イメージマップウインドウで取り込みをクリックして、先の画像を読み込みます。
こういった細かい目のある画像をマッピングする場合はデフォルトのMIPマップにしておいたほうがモアレを若干回避できます。大きなマップ(4000ピクセルとか)を使用してシャープに出したい場合はダイレクトを選んだほうがいいかもしれません。動画の場合はスムージングを選ぶとちらつきが押さえられていい結果が得られるときがあります。
バンプにも同じ画像を読み込みます。勝手にグレースケールに変換されます。この場合はちょうどいい濃度なので同じ画像データを使用しますが、模様が濃い色の場合などはバンプが強く出るので、薄いグレースケールの画像を別途作成する必要があるかもしれません。
■05
さて数値ですが、これは好みですが、明るめの室内を描くのであればグローを0.2くらいに設定します。照明がなくとも2割明るくなっている状態でしょうか。バンプも0.2です。バンプの数値は最終の解像度によっても変わりますが、紙に出力することを考えてこの数値でちょうどいいと思います。大きくすれば凸凹感が強くなり、0なら平らです。
数値を入れたらOKをクリックすると適用されます。表示をスムースシェーディングにしてみましょう。
■06
グループ図形にイメージマップテクスチャーを適用した場合、デフォルトではZ方向から平面マップされた状態になります。
元の画像との関係は右図の状態です
■07
オブジェクトプロパティパレットのテクスチャータブでマッピングを変更します。
まずマッピングを立方体形式に、サイズを900mm角に変更します。目が細かくなり、流れていた部分も壁紙が貼られました。
■08
が、Z 方向から割り振っているので、面によってタテになったりヨコになったりしているはずです。
垂直面の画像の方向をそろえるために上面から貼った状態に変更します。テクスチャータブの配置をクリックするとツールパレットの内容が変更され、赤いボックスが表示されます。表示はワイヤーフレームに戻しておきます。
■09
赤いボックスがテクスチャーの(画像の)基本位置です。
このボックスを動かすことで、テクスチャーの方向やサイズを自由に変えられます。サイズは先程900mm角にしたので、赤いボックスは900mm角になっています。ここでツールパレットの回転ツールを選んでZ方向の黄色いハンドルを上面に回転させます。shiftキーを押しながらドラッグすると45度刻みで移動できます。若干ボックス部分を拡大したほうがやりやすいでしょうか。黄色いハンドルの"+"と"−"を確認しながら回転を行ってください。スムースシェーディング表示にすると、壁面のテクスチャーの向きがそろっているのがわかります。
■10
本当は横長の画像だったのですが、このほうがいい感じだったので変更しました。
壁紙のマッピングサイズはどのくらい大きく設定すべきか難しいところですが、アングルでレンダリングして、手前の面が実物よりちょっと大きいくらいが適当でないかと思います。2cm x 4cmの見本だからといって20 x 40mmに設定しないように!!モデリングメニューからオブジェクト編集終了を選んで壁紙設定終了です。必ずカメラアングルでレンダリングしてみましょう。
今回はWEB上でテクスチャーがわかるように若干大きめにマッピングしていますが、半分くらいのサイズのほうがA3に出力した時にはきれいかもしれません。制作したテクスチャーはモデル内では何度でもパレットから使えますが、リソースパレット右上のプラス(+)メニューから保存を選び、STRATAフォルダ(ディレクトリ)/ライブラリ/テクスチャー内に保存するとSTRATA起動時に読み込まれ、どのモデルでも使用できます。テクスチャーフォルダ内に任意の名前のフォルダを作り、オリジナルは分けておくとより便利です。
■11
次に床のフローリングです。分譲住宅やマンション等はフローリングといっても、そんなにいい材料は使っていないでしょうから、こんなもんかな?(テクスチャー用参考データ「床フローリング.bmp」または「床フローリング.tif」)
これはオーク材のベニヤ板をスキャンしてAdobe Photoshopで貼り分けたものです。
最近こういう焦げ茶のフローリングもよく見かけます。これは僕が仕事で使っているテクスチャーなので少し大きめですが、試してみてください。このくらいのパターンで作っておけば、それほどパターンが気にならないでしょう。これでも鳥瞰など作るとパターンが目立ってしまいます。鳥瞰等の場合は、逆に画像のサイズはそんなに大きくなくとも、広い面積でパターンを作成するときれいです。壁紙の設定と同じ手順で床オブジェクトのウインドウを開き、新規/イメージテクスチャーでマップとバンプにこの画像を読み込みます。フローリングはオイルステン仕上げとか、特別な仕上げでなければ若干写り込みがあったほうがそれっぽいので、反射率も設定します。ここで数値を変更しているのはバンプ/反射率の2項目です。ほかはデフォルトでいいでしょう。
■12
マッピングタイプは平面マップでいいのですが、壁の場合と同様にZ軸方向から貼られるかと思うと、このオブジェクトはベジェ面オブジェクトでグループではないので、ちゃんと?貼ってくれます。が、方向を90度回転させたいので配置をクリックしてオブジェクト編集モードに入り、テクスチャー回転ツールで90度回転した後、テクスチャー拡大縮小ツールでサイズを変更します。もしくはテクスチャータブのサイズに数値を入力します。ここでは1500 x 6000mmとちょっと幅広なフローリングに設定しました。
6枚貼りの画像ですから、一本の幅が250mmになってしまうので本来そんなことはないのですが、実寸にするとすごく細く見えるので、倍サイズとかの設定のほうが自然に見えます。ただしクライアントから指定があればちゃんとしたサイズで貼ります。その場合、もう少し広範囲な画像にしないときれいにできません。
■13
もう一つ、天井面に使用したテクスチャーですが、白塗りの壁や天井に使用できます。
マップ画像は貼り込まず、バンプのみ、Adobe Photoshopで白い画像にノイズフィルターを適用した画像を使用しています。(テクスチャー用参考データ「壁バンプ.bmp」または「壁バンプ.tif」)
カラーで薄いベージュ(マゼンダ2%イエロー6%)に色を付けてグローを0.25と若干高めに、バンプは0.2くらいです。
ライティングしてレンダリングしないと、効果は発揮されませんが、天井に立方体形式で300 x 300mmぐらいの設定で使っています。
とりあえずこれで部屋らしくなりました。
まだ解説していない部分が数点(ガラスブロックやら、、)見えていますが、キッチンはキッチン制作編で、玄関脇の収納のテクスチャーは追加パーツ制作編で解説します。イメージマップテクスチャーの各パラメーターの詳しい内容はマニュアルをよく見てください。STRATAにはイメージマップテクスチャー以外にも、手続き型のテクスチャー(シェーダー)が何種類もあります。テクスチャータブの中身をいろいろいじって遊びましょう。ウッドやソリッド等、設定次第ではリアルなテクスチャーも作れます。イメージマップテクスチャーを使用するよりもおおむね高速にレンダリングできるようです。とはいえ、パースでは画像貼り込み系のテクスチャーを使うことが多いので、イメージマップテクスチャーのパラメーターは十分理解しておきましょう。
画像サイズが大きくなってきますので、どうしても自分でここまでできなかった方は以下のファイルをダウンロードしてSTEP04に進みましょう。
ここまでのモデルデータ
モデルデータダウンロード:
(CX 用)
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Macintosh用 STEP03_s3dcx.sit (14.5MB) <<<ダウンロードする |
Windows用 STEP03_s3dcx.exe (15.3MB) <<<ダウンロードする |
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モデルデータダウンロード:
(3.7〜3.9 用)
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Macintosh用 STEP03_s3d.sit (17.2MB) <<<ダウンロードする |
Windows用 STEP03_s3d.exe (18.2MB) <<<ダウンロードする |
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