STEP07
ライティング



ライティング/ベースライト、ダミーライト、間接照明等

やっと照明の話にたどり着きました

ここまで、ライトの話を避けてきましたが、初回ダウンロードしていただいた(でしょうか?)ファイルには、あらかじめ最も簡単な照明の設定がしてあります。ディレクショナルライトを影なしで3方向から斜めに40%づつ、影ありのディレクショナルライトを一本右斜め上から、真下から影なしのディレクショナルライトを1本です。アンビエントは20%になっています。とりあえず全部の面が明るく見える設定ですが、通常、テクスチャーの設定が終わるまではこの状態で作業しています。アングルの確認程度まではこれで間に合うかと思いますが、壁も天井も床もフラットに明るくなるので、あまりリアルではありませんね。





もっとリアルに見せるために、いくつかのアプローチがあると思いますが、ここではライトを使って陰影をコントロールする方向で話を進めます。

STRATAにはディレクショナルライト、アンビエントの他に、光源としてポイントライト、スポットライトがあります。レイディオシティを使えばあらゆるオブジェクトを光源のように扱えますが、実戦的なレンダリング速度は得られないので、話題には扱いません。ここではレンダリング、といったらレイトレーシングのことと考えてください。文中でテストレンダリングを繰り返し行っていますが、全て図の設定です。








■01

照明の基本的な考え方は、実際の照明に近づけることです。

天井を隠して真上からレンダリングした状態です。(これを鳥瞰図もしくは俯瞰図といいます)光がどのように配置されているかある程度分かると思いますが、テクスチャーがついているのでちょっと分かりにくいですね。










■02

このモデル内で実際に配置されているライトを色分けしてあります

オレンジの位置がスポットライトを真下に向けて配置した場所です。玄関では、実際には全体を明るくするライトに加えて、右側の棚に花でも飾った場合に集光のスポットで照らそうかとも思ったのですが、見えないので無しにしました。


 





■03

玄関から入った廊下は、右側収納と天井面の間に間接照明を入れて、さらに2灯ライトを入れています。室内には5灯のスポットライト光源が設定してあります。植栽真上の一灯は入り口から植栽の見え方が気になって入れました。部屋の明かりとしては無い方がいいかもしれません。そしてキッチン内部に一灯です。実際の照明以外ここでは全て同じ明るさの光源を使っています。

それぞれは天井際に設定した影あり光源と、床面から下に、上向きに設定した影なし光源とがセットになっています。








■04

レイトレーシングでは、反射光を計算できませんから、手動で床面からの(あるいは壁面から、天井面からの)反射の光をライトで設定しなければなりません。これらの機能的な明かりに加えて、ペンダントやスタンド、外光の影響などを加えて完成します。今回はベースライト、反射のダミーライト、間接光の設定をしてみましょう。

始めに、ディレクショナルライトの影なし設定のライトを全て削除してください。アンビエントは15〜20%くらいがいいでしょう。

まずベースライトです。拡散タイプのダウンライト(天井埋め込み器具)の明かりとして設定します。気分は32Wツインコンパクト蛍光灯というところでしょうか。床面にダミー(及びターゲット)となる直方体を置き、天井面に触る位置へ指定形式で複製、で複製し、両方を選んでシェイプに登録します。




■05

シェイプを編集します。上の直方体から下の直方体に向けてスポットライトを一灯設定します。下の直方体をターゲットに設定、上の直方体の位置で天井面から数mm下くらいにスポットの中心を移動します。











■06

スポットの数値はプロジェクトウィンドウで設定しましょう。最大明度角度160度、完全フォールオフ角度175度、最大明度到達距離500mm、完全フォールオフ距離5500mmくらいが今回の目安です












■07

ベースライト(拡散光)の設定の場合、角度は目一杯広く、完全フォールオフは天井高さの2倍程度、最大明度到達距離は完全フォールオフの1割程度を目安にしています。配灯するピッチにもよりますが、住宅ならばあまり細かく照明器具を付けないでしょうからこのくらいでちょうどいいと思います。スポットライトはモデリング時非表示にして、直方体はレンダリング時非表示にします。これで完成です。









■08

廊下に1灯だけ置いた状態です。













■09

床が暗い色なので分かりにくいですね。床を白にするとこんな感じです。













■10

結構広い範囲を照らしています。これを配灯していくのですが、今回のレイアウトは図のようになっています。赤くマーキングした位置に、上記のライトシェイプを置いています。












■11

ベースライトを配置したレンダリングです。(右図上下)

ライトの壁面からの距離によっても、微妙に壁にかかる光が強すぎたりしますが、光源近くだけ強くなりすぎる場合はライトの明るさを初期の80%から50%くらいの間で調整します。あまり弱くして床面が暗いからといってライトを増やすと、レンダリング時間がどんどん延びます。弱くして完全フォールオフ距離を長くとると、やはりライトの影響の重なる部分が増えてレンダリング時間が長くなります。






最大明度到達距離を長くとると、床面の暗さは解消しても、壁面にかかる光が上から下まで均一になり、変です。最大明度到達距離は0〜200mmの間くらいで十分です。基本的に器具から出た光は距離の二乗に比例して減衰していくので、通常の照明では最大明度到達距離は短く設定します。例外は、レーザー光や、超集光のスポットライト等は平行光に近いので、照度 = 距離の二乗に反比例という公式は当てはまりません。










■12

さて、ベースライトが設定された段階で、ペンダントやアッパースタンドもすでに入っているはずなので、けっこうそれらしくなりましたが、天井面が暗く、フラットですね。次に床面からの反射ダミーライトを作ります

ベースライトを作った時と同じことですが、光源の位置は床面より下で天井高さの1/2くらいの位置が目安ですが、壁にかかる光がいかにも床下にライトがある、と分からないくらい下へ置きます。配置はベースライトと同じ場所に置きます。













■13

ちょっとずれているのは私の置き方がいいかげんなせいです。あまり微妙に気にすることはないですが、壁面からの距離はどれも同じになるようにしましょう(ベースライトも同じことです)。ライトの設定はこんな感じです。

今回は床が焦げ茶色のフローリングなので、反射の光には若干色を足しています。薄いオレンジです。












■14

もし時間に余裕があれば、ベースライトだけの設定でレイディオシティでレンダリングしてみると、実際どんな色に光が反射してくるのか分かります。












■15

天井面はかなり焦げ茶で壁にも色がうっすらついています。これが現実かもしれないのですが、このままだと天井がくら〜いパースになってしまいます。もっとうす〜い色にしましょう。写真など見ながら描くと、このレンダリングに近いものになるかもしれませんが、人間の記憶は正確ではありません。天井面は壁面の明るさや部屋全体の明るさに合わせてバランスをとりましょう。そのほうが実際の印象に近いパースになります。人間の目の露出調節機能は優秀です。パースを写真と同じにしてもだめです。






先程の床反射ダミーライトを入れたレンダリングはこんな感じです。(右図上下)













■16

窓の外には青空が見える設定なので、窓の外の画像の明るさのイメージに合わせて明るくします。夜の設定ならば、ベースライトはもっと暗く、床反射ライトももっと「14の画像」(右図)のようにオレンジ気味の焦げ茶くらいにしてもいいと思います。夜の設定については、また後のステップで詳しく解説します。










■17

最後は間接光です。今回は玄関を入った廊下の右側の収納の上に天井面へ向けた間接照明を設定しました。間接照明の明かりにはポイントライトをシェイプ化して使用します。立方体とポイントライトを一緒にシェイプに登録して設定します。設置位置は什器の上端から100程下に設定しています。










■18

ライトの設定です。電球、という設定なので、色も若干オレンジ色にしています。明るさは弱めで(今回は30)完全フォールオフ距離を1500mmにしています。配置は300mmピッチにしていますが、ピッチは光があたる壁面or天井面までの距離の1〜1.5倍くらいが光のムラが出ないピッチです。












■19

問題なのは影ありにすべきか、影なしにすべきかですが、今回は影なしです。影ありのほうがよい場合もありますが、今回は結果があまり差がないのでレンダリング速度を考えて影なしにしました。影ありにしてレンダリングした結果です











■20

周囲に影が落ちる状況があれば影ありのほうがリアルですが、影がはっきり出すぎることもあります。そんなときには間接照明シェイプの中に影ありライトと影なしライトを両方入れて、バランスをとるといいでしょう。その場合は2つのライトの明るさの合計を同じにするくらいが適当でしょうか、、。影あり15/影なし15くらいです。参考まで、たとえば柱が出ているという設定です。影が薄くなり、自然なイメージになります。ちょっと薄すぎて画面ではよく分からないかも?












■21

ここまでのベースライト、床反射ライト、間接光の設定をすれば、ある程度見れる状態になると思います。私もつい最近まではこれで完成としていました。

が、さらに照明での演出を施すことで格段に向上することが分かりました。この後、step08とstep09の2段階で照明で演出を深めていきます。次の項では、ポイントライトの付加要素的なライトの使い方を紹介します。










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